NISA口座は1人1つ|金融機関を変えたいときの手続きと「9月30日」の期限

証券口座を申し込もうとして、「NISA口座は1人1つ」という一文で手が止まった人向けの記事です。銀行ですすめられるまま作ったNISA口座があって、それが引っかかっている、というケースがほとんどだと思います。

結論から言うと、変更はできます。ただし「いつでも自由に」ではなく、年単位のルールと期限があります。そして手続きより先に確認すべき落とし穴が1つあります。順番に整理します。

大前提:NISA口座は全金融機関を通じて1人1つ

まず前提の確認です。NISA口座は、証券会社・銀行をまたいで、1人につき1口座しか持てません。「A銀行とB証券の両方でNISA」はできない、ということです。

これは制度として決まっているもので、金融機関ごとの方針ではありません。だから新しく別の会社でNISAを始めたい場合は、新規に作るのではなく「変更」の手続きになります。

なお、NISA口座ではない通常の証券口座(特定口座など)は、何社でも持てます。制限があるのはNISA口座だけです。

変更はできる。ただし「年単位」で期限がある

金融機関の変更は年単位で行います。「今日変えて明日から新しいほうで買う」ということはできません。

手続きの期間変更が反映される年
2025年10月1日 〜 2026年9月30日2026年分のNISAから
2026年10月1日 〜 2027年9月30日2027年分のNISAから

つまり2026年のうちに変更を反映させたいなら、期限は2026年9月30日です。この日を過ぎると、次に変更できるのは2027年分からになります。

ポイント:この手続きには郵送のやり取りが挟まります。後述しますが、書類が届くのを待つ時間があるので、9月下旬に動き始めると間に合わないことがあります。変更するつもりなら、8月中に動き出すのが安全です。

落とし穴:今年もう買っていると、今年は変更できない

ここがいちばん多いつまずきです。

その年の1月1日以降に、NISA口座で一度でも買付をしていると、その年の金融機関変更はできません。1回でもアウトです。この場合は、翌年からの変更になります。

やっかいなのは、自分では買ったつもりがなくても買付が発生しているケースです。以前に積立の設定をしたまま忘れていると、毎月自動で買付が続いています。「もう何年も触っていないから大丈夫」という思い込みが、いちばん危ない状態です。

確認方法はかんたんです。いまの金融機関にログインして、取引履歴でNISA(つみたて投資枠・成長投資枠)の買付が今年に入ってから発生していないかを見てください。1件でもあれば、今年の変更はできません。

買付があった場合でも、あきらめる必要はありません。10月1日以降に手続きをすれば、翌年分から変更できます。先に積立設定を止めておけば、翌年の枠を使ってしまう心配もなくなります。

手続きの流れ

やることは4つです。新旧2つの金融機関にまたがるので、順番が決まっています。

  1. いまの金融機関に「金融機関変更届出書」を出す。Webで完結できるところと、書類の取り寄せが必要なところがあります
  2. 「勘定廃止通知書」が郵送で届くのを待つ。ここに1〜2週間かかります。NISA口座に残高がない場合は「非課税口座廃止通知書」という名前で届きます
  3. 新しい金融機関でNISA口座を申し込み、届いた通知書を提出する。通常の口座開設と同時に申し込めます
  4. 税務署の確認を待つ。ここでさらに1〜2週間ほどかかります

合計すると1ヶ月前後を見ておくのが現実的です。だから9月30日の期限に対して、8月中の着手をおすすめしています。

出典:制度の詳細は金融庁 NISA特設ウェブサイトを、実際の書類名や受付方法は各金融機関の公式ページをご確認ください。手続き方法は金融機関ごとに異なります。

デメリット:商品は持っていけない

変更を決める前に、これだけは知っておいてください。

いまのNISA口座で持っている商品は、新しい金融機関に移せません。変更前の金融機関に残ったままになります。

ただし、これは思っているほど困りません。理由は、2024年からのNISAは非課税で持てる期間が無期限だからです。

  • 残った商品は、そのまま非課税で持ち続けられます。期限が来て課税口座に移る、ということはありません
  • 売りたくなったら、いつでも非課税のまま売却できます
  • 売らなければいけないわけではありません。放っておいて構いません
  • 生涯投資枠(非課税保有限度額)は個人ごとに管理されるので、金融機関を変えてもリセットされません

実質的なデメリットは、口座が2つに分かれて管理がやや面倒になることです。資産が2箇所に散るので、残高を見るときに両方をのぞく必要があります。

それでも変更する価値はあるか

正直に言うと、人によります。手間は決して小さくないので、「なんとなく良さそうだから」で動くと後悔します。判断材料を挙げます。

変更したほうがいい人
  • 口座を作っただけでまだ1度も買っていない
  • クレジットカードで積み立ててポイントを受け取りたい
  • いまの金融機関に買いたい商品がない
  • 信託報酬(持っている間ずっとかかる手数料)が高い商品しかない
急がなくていい人
  • すでに今年の買付がある(どのみち翌年から)
  • いまの積立に不満がない
  • 口座が2つに分かれるのが煩わしい
  • 手続きの途中で止まりそうな自信がない

とくに「口座だけ作って放置している」人は、変更の手続きがいちばん軽く済みます。残高がなければ届く書類も「非課税口座廃止通知書」1枚で、失うものもありません。心当たりがあるなら、今年の9月30日までに動く価値は十分あります。

変更後にどう進めればいいか分からなくなったら、NISAのはじめ方(6つのSTEP)の順番どおりに進めてください。証券口座を作るところはSTEP3にあたります。

よくある質問

Q. NISA口座は2つ持てますか?

A. 持てません。すべての金融機関を通じて1人1口座です。ただし年単位で変更することはできます。

Q. 今年のうちに変更できますか?

A. その年に一度でもNISA口座で買付をしていると、その年の変更はできません。買付がまだなければ、9月30日までに手続きが終われば今年から変更できます。

Q. いま持っている商品は移せますか?

A. 移せません。変更前の金融機関に残ります。ただし非課税で持ち続けられ、売却も自由なので、売る必要はありません。

Q. 変更すると生涯投資枠は減りますか?

A. 減りません。非課税保有限度額は個人ごとに管理されるため、金融機関を変えても引き継がれます。

Q. 変更前の口座は解約したほうがいいですか?

A. 残高がある場合、解約すると非課税のまま保有し続けられなくなります。急いで閉じる必要はありません。

まとめ

NISA口座は全金融機関を通じて1人1つ。ただし年単位で変更でき、2026年分に反映させたい場合の期限は2026年9月30日です。

先に確認すべきなのは、今年すでにNISA口座で買付が発生していないか。1件でもあれば今年の変更はできず、10月以降の手続きで翌年からになります。忘れている積立設定が動いていることがあるので、取引履歴を見てください。

持っている商品は移せませんが、非課税のまま置いておけるので売る必要はありません。生涯投資枠も引き継がれます。実害は口座が2つに分かれることくらいです。

※本記事は制度の一般的な解説であり、投資助言ではありません。手続きの方法・必要書類・受付期限は金融機関によって異なります。実際の手続きの前に、金融庁および各金融機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。記載は2026年8月1日時点のものです。